常套手段って?

皆さんはある水草を育てるときその水草の育成のポイントを人に聞いたり、雑誌や本で調べたりしますか?少し経験があり水草を育てる難しさが分かってきた頃の人だと必ずそういったことを試みるのではないでしょうか。

ただ一つ理解しておかなければならないことがあります。
それはそういった情報として皆さんに教えられるのも、ほんの一つの目安でしかなくその通りすれば必ず上手く行くという物ではないし、全くその逆の事をしている水槽でもその水草が元気に育っている場合だってあるのです。

従って教えられたとおりやっても上手く行かないとか、別な人にアドバイスを受けたら全く逆のことを言われたなんて事が当たり前なのです。
教えられたとおりやっても上手く行かなくて当然ですし、アドバイスをしてくれる人は全く逆のことをしていても自分の水槽ではそれで上手く行っており、それをただあなたに伝えただけなのかもしれません。

「この草は低水温でなければ育たない」と言われているような草なのに、自生している地域に行ってみれば場所によっては懇々と温泉がわき出て露天風呂になりそうな川にその草が生えていたという事も有るそうです。

そもそも、全く同じ水槽・全く同じ底床・全く同じ濾過システム、どれを取っても全く同じ物を、同じ家の同じ部屋に同時にセットし、全く同じショップから同時に全く同じ水草と魚を買ってきて、全く同じようにレイアウトし、同じ水道から同じ量の換水を全く同じようにしてメンテナンスをしたとしても、半年後には全く違った性格の水槽に出来上がって当たり前なのです。

そうやって全く同じ条件で作ったのに全く違った特性を持つようになってしまった水槽では、勿論片方の水槽で良く育っている水草をもう一方の水槽に移したらすぐに枯れてしまったといった事も起こります。

水槽の状況を決定付ける要因というのはこういった事からも分かるように、何百何千といった要素が複雑に絡み合ってその結果を表します。
水温がどうのpHがどうのと人間が頭で考えられるほどの事で、意図したとおりの結果にならなくても当たり前といえば当たり前です。

そういったとても複雑な要因があるなかで特定の条件下を予想して作られ、その上成分表示が無く何で出来ているか、それが何と結びついてどういった変化になるかもはっきりと分からない薬品を水槽に入れることで、さらに状況を複雑にし本来水槽が持っている自己回復能力まで破壊してしまっている水槽も少なくないようです。

水槽の世界では5+5が10にならないことの方が多いです、従って常套手段なんて無いのです。
そういった中で自分で試行錯誤をしながら自分の環境で上手く行くやり方を見つけ出す。
だからこそ面白いのであって、そうして上手く行って水草が綺麗な姿を見せてくれたときにこの上ない感動を手にすることが出来るのです。


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