峠のレストラン

「峠のレストラン」とはまた意味深なタイトルで始まりましたが、皆さんは観光地などに行ったときの昼食や夕食に入った店で、お世辞にも美味しいとは言えない食べ物を、とても高い値段払って食べさせられたという経験はありませんか?

たぶん多くの方がそういった経験を一度はされているのではないでしょうか。

そういった思いをさせられると会計を済ませて店から出てくるときに「こんな店二度と来るか!」と思うんですが、実はそういったお店にしてみれば一度来たお客さんが二度と来なかったとしても痛くも痒くもないんですよね。

町中にあるレストランなら訪れたお客さんの多くの人から「二度と来るか!」などと思われては死活問題ですが、観光地のレストランならまた来週になれば新しい観光客がその店のことを知らずにやってくるのですから・・・

私は現在のアクアリウムメーカーやアクアリウムショップの考え方って峠のレストランと全く同じとは言えなくても、それに近い物が有るのではないかと思います。

ようするに、ある人が「アクアリウムって面白そうだから」とか「写真を見てとても綺麗だったのでそれに憧れて」という感じでアクアリウムを始めたとして、アクアリウムメーカーやアクアショップは、その人にどうやってなるべく沢山の物を買ってもらうかを考えるあまり、その人がアクアリウムの良さを分かってそれを趣味とし長く続けてくれるかどうかという事がどうでも良いことにされているように思います。

こう書くとアクアリウムメーカーやアクアリウムショップから「そんなことはない、アクアリウムの技術情報を教えたり、指導するなりしてアクアリストが広く定着するように努力している」と反論が返ってきそうですが、本当にそうでしょうか?

私は現在のアクアメーカーやアクアショップはある人がアクアリウムをやりだしたとして、その人が”今年1年間で20万円分のアクアリウム商品を購入したが結局アクアリウムから離れていった”場合と”今年1年間で5万円のアクアリウム商品しか購入しなかったが、その人はその後アクアリウムをずっと趣味として続け、毎年3万円ずつのアクアリウム用品を10年間消費し続けた”場合の、どちらの状況をより歓迎しているかと考えると、私は現在のアクアメーカーやアクアショップの多くは前者をより希望しているのではないかと思います。
(もちろん1年間で20万円それをず〜っと続けてくれるのが一番良いでしょうがそれはあまりにも都合が良い話しだし、もし有ったとしてもごくまれな人であって、常識的に考えればお金が掛かりすぎると思えば辞めてしまう人もそれに比例して多くなるはずですから、話を分かりやすくするために二つのパターンに限定しています)

そりゃぁ最近は不況ですからね、10年間の売り上げよりも今年の売り上げに魅力を感じるのは当然ですし、10年間のトータルの売り上げを考えていて、今年の売り上げが少なくて倒産してしまうようでは元も子もないですから、それは仕方がないことでしょうね。

ということで、何も準備せずにバスに乗り込み峠に到着して(どんどんお金が必要になったり不要な物まで買わされるなど)嫌な思いをし「こんな店二度と来るか!」(アクアリウムなんてやめてしまおう)と思わないように、荷物になって重くても峠に出発する前にお弁当を先に買っておくか、峠では食事をせず町に戻ってから食事をするなど、ちょっとした努力や我慢をする事でそういう思いをせずに楽しい観光(楽しくアクアリウムを続けていくこと)が出来るのです。

峠のレストランはバスから降りてきた人が皆弁当を持参して、自分のお店に見向きもしてくれないような事態が起きない限り、自分からすすんで”美味しい物をなるべく安く提供して喜んでもらおう”という考えには変わらないのです。


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