ムジナモ
Aldrovanda vesiculosa L.



 ムジナモはモウセンゴケ科で,世界に1属1種しかない珍しい水草です。原産地はインドのカルカッタ地方ですが、アフリカ、オーストラリアのクインズランド、インドのベンガル地方、中国大陸北部、黒竜江沿岸などにも産するようです。現在ではほとんどの地方で絶滅しているようです。

 日本のムジナモは関東平野の江戸川で牧野富太郎博士によって1890(明治23年)5月11日に最初に発見され、草体がムジナ(狸)の尾に似ていることからムジナモと命名されました。 利根川、信濃川、木曽川、淀川の一部でも発見されたが、いづれも台風による出水や水質汚濁で次々と絶滅しました。

 最後まで残った埼玉県羽生市の宝蔵寺沼のムジナモは1966(昭和41)年6月に、国の天然記念物に指定されたが、直後の同年8月22日、台風4号の洪水で流出し、ついに日本では自生地を見ることができなくなりました。
 現在見受けられるムジナモは、ルーツは宝蔵寺沼のものですが流出前に保護確保されていたものが水草や食虫植物の愛好家などによって栽培されているものです。

 上の写真では右端が茶色になっていますが、基部(右端)が枯死することで各枝が離れ,新しい個体として成長を統けます。左端に新しい枝が出てきています。もう少し成長した段階で分離します。
 ムジナモは水槽または屋外の蓮鉢などによっても容易に育成が出来ますので、増殖させていつの日かかつての自生地に戻したいものです。

<頂部拡大図>




[ 前のページへ ]