よしを’S質問箱
分類 @@#器具#@@ @@#苔#@@
Q454.殺菌灯と藻の関係について教えてください。
【まささんからの質問】
Q159で殺菌灯で藻はなくならないとかいてありましたが、うちは殺菌灯で藻はなくなると思います。
カミハタのHPにもこう書いてありました。

>アオコ・コケの防御
ご自分のお庭に鯉などを池で飼育しているという方はいらっしゃいますか?「池がみどり色になっちゃって、困るんだよねー。」というお悩みがあるのではないでしょうか。殺菌灯が効きますよ。ろ過装置さえきちんとしていれば、みどりのもと、アオコを除去する事ができます。
また、水槽内にコケがはえて困っている方にも殺菌灯がお勧めです。もちろん、水槽についてしまったコケは(殺菌灯のなかを通らないので)なくなりませんが、水中にあるコケの胞子を殺す事ができます。上記のアオコもそうですが、UVが植物の細胞に直接はたらくのです。

うちの周りでも殺菌灯でコケが取れるということになっています。
実際のところどっちなのでしょうか?

A454.殺菌灯
確かに効果が有るかもしれませんが、逆に紫外線殺菌灯で苔やアオコが減少するほどに、元々苔やアオコが多いということが前提に有ってではないでしょうか?
要するに庭の池のような環境では目に見える効果が有るかもしれません。
逆に元々苔が少なくても、その少ない苔が水草の葉に生えてしまうと命取りとなるような水草水槽では期待するほどの効果が有るのかどうか疑わしいと思います。
庭の池のように水替えや掃除が困難だったり、超手抜きの金魚水槽で水が緑色になって水の透明度が20cm以下にならないと換水を行わないような環境なら使用するメリットが有るでしょうが、頻繁に換水を行われしっかりと管理されている水槽(特に水草水槽など)の場合には、ただでさえ頭を悩ませる夏場の水温上昇に拍車をかけるといったデメリットの方が大きいように思います。

そもそも、紫外線殺菌灯は海水水槽で主に用いられていましたが、それは人口海水というものを必要とする海水水槽ではコスト的な問題でそれほど頻繁に換水が出来なかった為にそれを補う器具として利用されていたと私は思います。
もちろん、病気の予防などの効果も有ったと思われますが、それは海水水槽は淡水水槽に比べて濾過が安定し辛く結果的に濾過機能が満足に働かない中で飼育することの多い事から、言ってみれば出来上がっていない濾過の中で白点病などの病気をなるべく発生させない為に使われてきた経緯が有るのではないかと思います。
現在では海水水槽でもそういった対処療法ではなく濾過をきちんと機能させることが病気を発生させない一番の方法であるという認識が広まり、さらにベルリン式やモナコ式と言った方法で水槽を安定させる技術がかなり進歩した為に、海水水槽でも紫外線殺菌灯を必須とするような考え方は無くなりつつあるのではないかと思います。

ということで、紫外線殺菌灯もまったく効果が無いわけではないが、それは使用する環境と求める効果によって利用する価値がある場合も有るし、無い場合も有るということだと思います。
個人的には淡水水槽の場合はこまめな換水と安定した濾過で簡単に殺菌等などを必要としない状況を作れると思います。

最後にまささんがというわけではなく最近の一般的なアクアリストの中には、水槽の中を殺菌して無菌状態にすれば水は綺麗になり魚も元気になるという感覚をお持ちの人が少なくないようですが、殺菌灯で水槽の中を無菌状態にすることは不可能です。
またどんなに綺麗な清流でもそこには色々な雑菌が居ますし訳の分からない(現代人からすれば気持悪いという部類に入る)生き物がうようよ居ます。
でも、だからこそ水は綺麗だし魚は元気なのです。
水道水の塩素はその水の中で細菌を初めとしてありとあらゆる生き物が生きられないようにする為にわざと浄水場で添加されます。
その塩素を中和した水を入れた時点で、水槽の水は意図的に飼育する魚を初め、発生を心から願い場合によってはお金を出して買ってこようと思うほどの濾過バクテリアが居るのと同様、その他のバクテリアや細菌・水生生物が存在して当然なのです。
そういった生き物が共存する水槽という環境で、上手い具合にバランスを取り綺麗な水と健康な魚や水草をどう維持していくかというのがアクアリウムの基本だと思います。
そういった事から私としては水槽と言う環境の中に水槽水だけを殺菌する経路を設けそれによる何らかの作用を期待するというのは、その基本理念に合っていないような気がするので、自分では殺菌灯は使用しておりませんし、他人に使用を勧めることもしていません。

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