外掛け式オーバーフローシステム


はじめに

ここで紹介している自作作業をする場合特別な資格が必要だったり、又は素人工事をすることによって起きた事故(水漏れや漏電、火災など)については火災保険等の保証外になるようなケースもある事をはじめにお知らせしておきます。

ここで紹介している自作を実施される場合はそういったことを十分理解して、安全性の確認は十分行われることをお勧めします。
もちろんここで紹介しているものの安全性や機能を私は何ら保証いたしません。
ここの情報をごらんになって実施される場合はご自分の責任で実施してください。


海水水槽などの強力な濾過能力が要求される水槽で用いられることが多いオーバーフローシステム、その名の通り水があふれ出る状況を作り出し、あふれ出た水を濾過槽へ導いて濾過する仕組みです。
従って今までのオーバーフローシステムは水槽上部に(又は底面からパイプを水面まで延ばす等して)あふれ出るための加工を水槽に施す必要が有りましたが、最近サイフォンの原理を利用した外掛け式オーバーフローシステムが海水水槽のシステムで利用されだすようになりました。
この仕組みは市販の水道配管用塩ビパイプで簡単に自作する事が出来ます。
濾過槽を使い古しの60cm規格水槽等で用意すれば簡単にオーバーフロー水槽が出来上がります。


まずは必要な部品です。
この全てがホームセンター(大工道具などを売っているところ)で入手可能なはずです。
この他にノコギリ・塩ビパイプ用接着剤、エアホースとエアホースジョイントが必要です。

1.穴あき金具
この穴の位置を変更することで水槽の水位を調整する。
このほかにこの金具を止めるボルトとナットも必要。
2.コの字型金具
オーバーフロータワー全体を水槽に掛けるための金具。
左の画像の穴あき金具と同じ所で手にはいるはず。
両部品とも1個100〜300円程度。



3.塩ビパイプ
後述のJ字パイプには20mmから40mmのパイプを使用します。
水量が必要な場合は40mm程度の太いパイプを使用しましょう。
値段は2mで200〜300円程度



4.エルボ
3.の塩ビパイプを90度曲げて接続する物
J字パイプの部品として2個必要。
太さは3.で選んだ太さと同じ物
値段は1個50円〜80円



5.異径接続
左画像は40mm−20mmの異径接続
値段は1個数百円



6.同じく異径接続
左画像は100mm−40mmの異径接続





7.エンドキャップ
左画像は70mmのエンドキャップ
後述”水位調節カップ”を作るときに使用する。
値段は1個300円程度



8.太い塩ビパイプ
うちでは100mmと70mmを使用
仕組み的にはJ字パイプより”水位調節カップ”が太く、水位調節カップがオーバーフロータワーに入る太されあれば機能する。
うちではこのオーバーフロータワーにデュプラ社のバイオカスケードという濾材を入れてドライ濾過タワーとして使用しているので100mmのパイプを使用している。



9.ストレーナー
魚が吸い込まれたりしないよう付けましょう。
エーハイムの一番大きいストレーナーを使用しました。
20mmのパイプには少しサイズが大きいのでパイプを熱して押し込めばok。
残念ながらこの部分にP2フィルターの様なスポンジの抵抗のある物は付けられません、ま、オーバーフローなんでゴミだって葉っぱだってどんどん濾過槽へ送りましょう。



水位調節カップの作成


実物はこうなります。


オーバーフロータワーの作成。



J字パイプの作成



これで全ての部品が完成しました。
オーバーフロータワーのコの字金具を水槽の枠に引っかけて固定し中の水位調節カップに水を満たします。
このとき水位調節カップの高さが水槽の水位より2cm程度低くなるようにセットします。
J字パイプのストレーナ側を水槽に入れ反対側を水位調節カップの中に入れます。
その状態でJ字パイプに付けたエアホースを口で吸ってJ字パイプの中の空気を吸い出します。
空気が完全に抜けたらエアホースの先端を水槽の水の中に浸けてしまいます。

水槽の水位が水位調節カップの高さと同じになるまで水がオーバーフロータワーの水位調節カップからこぼれ落ちてくるはずです。
オーバーフロータワーの先を濾過槽に配管し濾過槽からポンプで本水槽へ水を汲み上げることでオーバーフロー濾過が実現されます。

詳しくは外掛け式オーバーフローシステムの原理をご参照ください。

外掛け式オーバーフローのノウハウ
実際に自分でやってみて色々苦労して発見したこのシステムを実施する上での注意点です。

このシステムは通常の水槽加工型のオーバーフローシステムに比べて排水側の能力が制限されるためポンプの能力とのバランスが少し難しいです、下記の注意点に従ってポンプの能力・濾過槽のサイズ・各所のパイプの太さを決定してください。

  1. J字パイプの太さ、特に水槽枠を乗り越える部分水平になる部分のパイプの太さによってオーバーフローしてあふれ出る水の流量が決定します。
    1000L/時以上の能力のポンプを使う場合は40mm程度の太さのパイプを使った方が良いでしょう。
  2. J時パイプの太さの他に水槽の水位と水位調節カップの高低差を大きくすることであふれ出る水の流量を多くすることが出来ます。
  3. 本水槽の底面積に対して濾過槽の底面積あまり小さくしすぎない方が良い。
    本水槽の水位が1cm下がることで濾過槽の水位が何cm上がるかが重要。
    あまりに大きいと停電などでポンプが止まったときに本水槽の水位と水位調節カップの高さが一致するまではオーバーフローし続けるので濾過槽が溢れてしまう危険がある。
    そのために2.の項目での流量を稼ぐために水位調節カップをあまり低く設定しない方は良い。

最後にオーバーフローシステム全般についての注意点です。
停電などでポンプが停止した場合ポンプからの汲み上げ側の先が本水槽の水面下にある場合(水草水槽の場合等は水面下にシャワーパイプを設置したりしますが)本水槽からの水が濾過槽側へ逆流しますので、逆流して本水槽の水位が下がれば水面より上にシャワーパイプが出て逆流が終わる様にするか、逆流防止弁等を設置して逆流を防ぐようにしましょう。


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